ヨルシカ「DARMA GRAND PRIX」考察——RADWIMPSトリビュート大トリの理由・n-bunaのRAD愛・suisボーカルの聴きどころを解説

2026年

ヨルシカ「DARMA GRAND PRIX」カバーとは——RADWIMPSトリビュートの大トリ

「DARMA GRAND PRIX(だるまグランプリ)」は、RADWIMPSが2013年にリリースしたアルバム『×と○と罪と』に収録された楽曲だ。ヨルシカはこの曲を、2025年11月19日発売のRADWIMPS20周年記念トリビュートアルバム『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』でカバーし、全14組の参加アーティストの「大トリ」として発表された。

アレンジはヨルシカのコンポーザー・n-buna、ボーカルはsuisが担当。作詞・作曲はRADWIMPSの野田洋次郎のままだ。同トリビュートにはiri、上白石萌音、ずっと真夜中でいいのに。、角野隼斗、SEKAI NO OWARI、Vaundy、YOASOBI、米津玄師など豪華な顔ぶれが揃った中、ヨルシカが大トリとして選んだ曲が「DARMA GRAND PRIX」というのが、n-bunaのRADWIMPS愛の深さを物語っている。

n-bunaのRADWIMPS愛——「1番のお気に入りだった」

n-bunaは今回のカバーについて、RADWIMPSとの出会いを中学生時代まで遡って語っている。「マニフェスト」のミュージックビデオを見たのが最初の出会いで、その後「兄弟が持っていたRADWIMPSの3rd〜5thバンドスコアを借りて、ギターフレーズをコピーしてよく遊んでいた」と明かしている。

高校時代にはアルバム『×と○と罪と』の世界観に強く魅せられ、「DARMA GRAND PRIXはその中でも1番のお気に入りだった」と語っている。20周年トリビュートの大トリとして自らがカバーするのが「DARMA GRAND PRIX」である、という事実は、n-bunaにとってこの曲がいかに特別な一曲であるかを示している。

「DARMA GRAND PRIX」というタイトルの意味——だるまさん転んだと人生の勝ち負け

まず曲名の読み方から整理しておきたい。「DARMA」は英単語ではなく日本語の「だるま」をローマ字表記したもので、「GRAND PRIX(グランプリ)」と合わせて「だるまグランプリ」と読む。歌詞には「だるまさん転んだの逆再生」というフレーズが登場し、このタイトルの意味が浮かび上がってくる。

「だるまさんが転んだ」という遊びでは、動いたら負け——じっとしていなければならない。それを人生の「勝ち負けレース」に重ねることで、この曲は「被害者か加害者か」「勝者か敗者か」を常に問われ続ける現代社会への痛烈な批判を歌っている。「DARMA GRAND PRIX」とは、そういう息苦しいレースの中でおそるおそる生きる人間の姿だ。

ヨルシカ版の聴きどころ——suisの低音とn-bunaのアレンジが生む「別解」

n-bunaは「原曲のアレンジを最大限活かした上で、ヨルシカというバンドが演奏するならこうなるという、差し出がましくも、この曲の一つの別解になることが出来たなら」とコメントしている。「別解」という言葉がn-bunaらしい謙虚さと誠実さを体現している。

ヨルシカ版の最大の聴きどころは、suisのボーカルアプローチだ。普段のヨルシカ楽曲では透明感と浮遊感が際立つsuisの歌声だが、今回は低音域やチェストボイスを前面に押し出した歌い方が印象的だ。ファンからは「suisさんの声がいつもと違って新鮮」「椎名林檎さんっぽさを感じる」という声も多く挙がっており、ヨルシカの新しい一面を引き出すカバーになっている。

元々、RADWIMPSの「DARMA GRAND PRIX」はポップでありながらも混沌とした世界観を持つ楽曲だ。そこにsuisのミステリアスなボーカルとn-bunaのアレンジが乗ることで、さらに深みのある「闇」が加わっている。

原曲「DARMA GRAND PRIX」の背景——RADWIMPSが2013年に問いかけたもの

原曲「DARMA GRAND PRIX」は、アルバム『×と○と罪と』(2013年)収録曲だ。このアルバム自体が「善悪・罪」をテーマにしたコンセプチュアルな作品であり、「DARMA GRAND PRIX」もその一角として「勝者と敗者、被害者と加害者」という二項対立への批判を鋭く描く。

「さぁ 今日はどちらでいこう 全部世界のせいにして 被害者ヘブンで管巻くか 加害者思想で謝罪大会」——冒頭のこのフレーズが示すように、常に「どちら側にいるか」を問われ続ける社会の空気を皮肉混じりに突き刺す言葉たちが並ぶ。この世界観はRADWIMPSが00年代末〜10年代に鳴らし続けてきたメッセージ性の核心でもある。

まとめ——ヨルシカによる「別解」が生んだ新たな名曲

ヨルシカがカバーした「DARMA GRAND PRIX」は、n-bunaにとって青春の一ページであり、最も愛した楽曲だ。その曲にsuisの声とn-bunaのアレンジを重ね、「別解」として世に出したこのカバーは、RADWIMPSへのリスペクトと、ヨルシカというバンドの個性が交差した特別な一曲になっている。

RADWIMPSを知っている人も、ヨルシカから入った人も、それぞれ違う角度でこの曲を楽しめる。それこそがカバーという形の魅力であり、n-bunaが「別解」と表現した理由だろう。

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